2度と見ないと思った景色
険しい崖と月。
火山の跡だという崖を、初めて見たのはもう5年も前のことだった。
いつだったか麓にある湖が火山の影響でできたことを耳にして、記憶は微かなものになって思いだすこともなく、初めてのその日から数ヶ月、数年して、それがどういうものだったのかが分かるようになった。
遥か下に見える大きな水たまりは、この崖が吹き飛んでできたもの。
しばらくは見なくて良いかなと思い、もう見ることも無いのかなと思い。
あれから数えてみれば3度目になっていた。
良く晴れた空の下、崖との間には月も浮かび。
どの日よりも良く晴れた気持ちの良い日になっていた。