音の素

手にした音を刻む小さな素。

音に囲まれるってなんて気持ちが良いんだろうと思った。
電車に揺られながら、自転車を漕ぎながら、街を見上げて歩きながら音楽を聴いていた。

いつも聴いている音が。
聴きなれている音が。
自分の動作や風の感じ方が変わるだけで、風景の中に溶け込んで聞こえる。

別に真新しいことをしたわけでもなく、昔から音は身の回りにいた。
1人でいるときも、何かをしているときも何かの音がリズムに乗って聞こえていた。

特別な何かがあるわけでもないし、そこから何かが生まれるわけでもない。
ただ簡単なスイッチを押すだけ。

音の素
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